「上通演劇まつり。
クリンクは何か英語のお芝居を。」
と言われ、
それは最初っから伝わらないことが前提であるな、と思い、何をやろうか悩みました。
その末にたどり着いたのが「
ちりめん本」でした。
ちりめん本とは明治時代に日本のおとぎ話を挿絵とともに綴った外国向けの本です。
初めてそれを読んだ時、
日本の浮世絵のような挿絵と、英語の文章が入り交じったその本が何故かとっても魅力的で。
この世界を作りたいなと思ったのがきっかけです。
(ちりめん本はこちらのサイトで読めます→
ちりめん本の世界)
浦島太郎は日本人の誰もが知ってるストーリーです。
某携帯のCMでも最近よく見かけますね。
そんななじみのあるお話。
しかし最初の稽古の時。
Blakeが言ってました。
「浦島太郎の話は、外国人が聞いたら『……え?』って思う」と。
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よくよく考えれば、浦島太郎って本当、
理不尽以外の何ものでもないですよね。
助けたカメにつれられて
竜宮城に来てみれば。
楽しい時間を過ごして帰り
お土産にもらった玉手箱を開けると
なんとおじいちゃんになってしまう
……え?
えええええ?!(°_°)
なんで?
助けただけなのに?
カメ、助けただけなのに?!
こんなに納得のいかない物語があるでしょうか。
納得のいかなかった北村が子供の頃、
子供ながらに考えたおじいちゃんになってしまう理由は
「乙姫の優しさ」でした。
『竜宮城では楽しい時間を過ごしていたけれども、
地上へもどれば何百年という時が流れている。
浦島太郎が知っていた世界とはまるっきり変わってしまっている。
そんな葛藤や混乱を抱えながら、生きていくのはとっても酷だ。
それならば、せめて……せめておじいさんになって、
見た目だけでもこの世界へ順応させてあげよう」
……本気でこれが理由だと思ってました。子供ながらに。
っていうことを最近思い出しました。
私は子供の頃、人生のツラさの何を知っていたのでしょうか。
疑問です。が。そう思っていました。
しかし。
ちりめん本の最後にはこんな文章があるのです。
「He died because he had been foolish and disobedient.
If he had only done as he was told, he might have another ten thousand years.」
おろかにも、乙姫様の言うことを聞かなかったので、浦島さんはおじいさんになり、死んでしまいました。
言われたとおり玉手箱をあけなかったら、浦島さんはあと1万年は生きられたかもしれないのにね。
……衝撃です。
乙姫の優しさの欠片など微塵も感じられないこの文章。
「あーあ、死んじゃった。残念っ☆」くらいのこのテンション。
うそだろー
きっと外国の人がこのお話を聞いて必死に考えたこの物語の教訓は
「人の言うことは聞かなきゃいけない」っていうことなのでしょう。
じゃなかったら納得がいかないのでしょう。
では、この浦島太郎。
なぜ、こんな納得のいかない物語なのでしょうか。
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それはこの物語の主軸が
「人の言うことは聞かなきゃいけない」というところにあるわけではないからです。
この物語の本来の主軸は
「身分違いの恋物語」なのです。
もう一回言います。
「身分違いの、恋物語」なのです。
皆さんはご存知ですか?
日本の昔話には
「人と、人ならざるものの恋愛は必ずうまくいかない」というルールがあるのを。
さて。
日本にはたくさん神様がいます。
竜、亀、狐、蛇、鹿、鶴……etc
乙姫様も、海の神様・竜の娘。
つまり神様=人ならざるものです。
浦島太郎はなぜおじいさんにされてしまったかというと、
①そもそもそんな神様なんて存在に近づいたりしたらダメ。
②連れて行くと言われても、竜宮城=天国的な場所に行っちゃダメ。
③行ったなら帰りたいとか思っちゃダメ。
……なるほど。
そもそも亀を助けた時点でダメだったっていうことですね。
理不尽すぎる。
しかし、頭の回転の早い方だとここまできたら
「ちょっと待って、亀を助ける行為=神を助ける行為ととれるのでは……?」
と思う方もいらっしゃるでしょう。
これにはもうひとつ理由があります。
実は日本の昔話の中では、先述した動物たちは神様であると同時に身分の低い人たちの比喩表現として使われることがあります。
つまり、
乙姫様は陸にあがることの許されなかった身分の低い人。
(「家船」という人々らしいです
詳細はぜひ、Google先生に聞いてください)
神様に触れた浦島が不届き者なのではなく、
乙姫の方が浦島太郎に接触してはいけなかったのです。
そう考えるとあの玉手箱の中身のことを、乙姫は知っていたのか知らなかったのか。
その解釈次第では乙姫は、悪女にも悲劇のヒロインにもなりうるでしょう。
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まとめると、
「浦島太郎という話は、人の言うことをきかないとお仕置きされるよ、という話ではなく
乙姫様との身分違いの許されざる恋を描いたラブストーリーなのである。」
ということ!なの!です!!
……はぁ、長かった。
書くのに半日かかっちゃいました☆
本当はもうちょっと書きたいことがあったんですよ!
「浦島太郎、実話説」とかね。
「竜宮城は黄泉の国だ説」とかね。
でもまたそれは別の機会に……。
さて、皆さん。
ここまで読んで浦島太郎に詳しくなってしまいましたね?ね??
ということで、
ぜひ、ぜひ7/4・5は上通演劇まつりへぜひぜひご来場ください!!
たくさんの素晴らしい劇団さんの中でwith a clinkは「Urashima」を上演します!
クリンクの出番は4日(土)15:30〜/5日(日)16:00〜!
7/3の前夜祭「上通物語」のリーディングにも代表北村、
出演させていただきます!
こちらもぜひぜひ!!
全公演、先着順ですので、お早めに!
たくさんのご来場お待ちしております☆ミ
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上通アートプロジェクト2015「上通演劇まつり」
「演劇?あんまし見たことない」。
おぉぉ、そんなら今回是非ここに!
熊本市の繁華街・上通のあちこちに出没する、
短編・コント・ミュージカル、演劇づくしな3日間。
なんと全演目太っ腹の無料開放!
この機会に是非、上通アーケードの魅力と演劇力をご堪能下さい。
・期間 2015年7月3日(金)〜5日(日)
・場所 上通アーケード内特設ステージ・熊本市現代美術館内アートロフト
◆その①◆◆◆◆◆◆
前夜祭「上通物語」リーディング
7/3(金)@現代美術館アートロフト
2010年、熊本県芸文祭で上演した作品を朗読で披露。
昭和28年、熊本を襲った水害をテーマにした人情物語。
未曾有の被害から立ち上がった上通の人々の姿を、たくましく、あたたかく演じます。
◎作・演出…池田美樹
◎ 出演…森岡光(不思議少年)・瀬尾誠一・堀田清(石)・井芹誉子(石)
・松岡優子(ゼロソー)・桑路ススム・冨川優・青谷一郎(市民舞台)
・オニムラルミ(きらら)・北村茜(with a clink) ほか
◆その②◆◆◆◆◆◆
アーケード劇場
7/4(土)5(日)@上通アーケード内
上通アーケード内で同時多発上演。
愉快なコント・ライブ・パフォーマンスに加え、「上通のないしょ話」「あの名物のうまさのひみつ」など、
上通ならではのあれこれを「楽しい演劇」にしつらえてお届けします。
◆その③◆◆◆◆◆◆
現美劇場(げんびげきじょう)
7/4(土)5(日)@現代美術館アートロフト
九州各地の愉快な名作短編をじゃんじゃん上演しちゃいます。
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※参加6団体
きらら・with a clink ・不思議少年(熊本)
有門正太郎プレゼンツ(北九州)
ヒロシ軍(長崎)
だるめしあん(東京)
詳細は下記アドレスからチラシ(PDF)をご覧下さい。
上通商栄会
http://www.kamitori.com/
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